中央大学文学部 心理学専攻|Chuo University Psychology

専攻紹介

心理学を通じて
新しい視点を
見つけてください。

心理学は「こころ」について
学び探求する学問ですが、
答えは一つではありませんし、
答えにたどり着くためには、
いく通りもの方法があります。

こころは一方では脳を基盤としますが、
もう一方では教育や社会によって
変化するものでもありますし、
病気になって垣間見える部分もあります。

大学ではこれらさまざまな視点から
こころを学ぶことができます。

特徴

自由な雰囲気の研究室で、
人の心の動きを
理論と実証の双方から追う。

アットホームな雰囲気の中で学べます

心理学専攻の第一の特色は、アットホームな雰囲気に包まれ、教員と学生の距離が近いことがあげられます。入学式の直後に上級生がスタッフとなって準備し教員も参加する新入生オリエンテーション・セミナーがあります。3年生から始まるゼミでは、4年生や大学院生を交えて学問的交流が行われます。学生の日常的な活動の拠点になるのが心理学共同研究室(図書室)で、そこでは学生同士が自主的に学ぶ姿がみられます。

基礎から臨床まで幅広く学べます

心理学には様々な領域がありますが、担当教員の専門は「知覚心理学」「認知心理学」「神経心理学」「発達心理学」「臨床心理学」「臨床精神医学」など、基礎から臨床および関連領域まで幅広く網羅していますので、自分の関心に合った学びの領域を見つけることができると思います。また「高次脳機能障害」や「発達障害」などのように、基礎と臨床が融合された領域を学ぶこともできます。

学部から大学院博士課程まで一貫した
指導が行われています

学部では心理学に関する基礎的な事項を学び、大学院ではそれを応用・発展させて行きます。大学院の博士前期課程には、臨床心理学を中心に学び、公認心理師と臨床心理士の受験資格が得られる臨床心理学コースと、知覚心理学・認知心理学・発達心理学・神経心理学を中心に学ぶ心理学コースがあり、それぞれ内部からの進学者が多数います。2025年度より、心理学コースでも公認心理師の受験資格が得られるカリキュラムが組まれました。さらに博士後期課程に進学して研究を続けることが可能で、博士号を取得した先輩達は各界で活躍しています。受験資格の取得についてはさまざまな条件がありますので、他のHP等で確認なさってください。

先輩たちの声

中央大学文学部の心理学専攻では、1・2年次に心理学の基礎的な部分を学びます。心理学専攻はクラスで受ける授業が多いため、友達との仲も深まり、授業の後によく遊びに行ったりしていました。

3年次からは1・2年次で培った知識を基盤に、それぞれ自分の興味のある分野の授業を選んでいくことができます。同時にゼミも始まり、より専門性のある分野を学んでいくことができます。『臨床』『犯罪』『発達』『神経』など、幅広い分野を扱っていますので、自分の関心に合った領域を学ぶことができます。

私は『認知心理学』のゼミに所属しています。認知心理学というのは、人間の認知活動について研究する、とても幅広い学問です。自分が面白いと思った研究を元にそれを発展させ、実際に実験と分析を行い、まだ明らかにされていない事象を検討します。教員・大学院生のご指導の下、分からないことがあればすぐに相談できる環境です。

心理学専攻に入り、同い年の友達だけではなく、多くの方との繋がりを持った有意義な4年間を過ごしています。

カリキュラム

  • 1年次

    文献検索や発表などのスキルを身につける『心理学基礎演習1 』、調査や実験結果の処理に必須となる『心理学統計法』があります。

  • 2年次

    必修科目である『心理学実験』『心理学基礎演習2(英文講読)』のほか、選択科目として『発達心理学』『教育心理学』などがあり、心理学の本格的な授業が始まります。

  • 3年次

    『心理学的支援法』『神経心理学』『認知心理学』などより専門性が増し、自分の関心に応じた科目を選択することができます。また『心理学特殊研究1』という本格的なゼミも始まり、自分のテーマに応じた調査や実験を行います。

  • 4年次

    『心理学特殊研究2』で自分の研究を卒業論文としてまとめあげます。

ゼミ

2024年度の中央大学文学部心理学専攻のゼミを紹介します。

大学院紹介

心理学は人間の行動と心理を科学的に解明する学問です。本学の心理学専攻は、学校心理学、認知心理学、生涯発達心理学の分野から理論的、実証的にこれらの課題に迫る心理学コースと、「こころ」の問題を理解し、援助することを目指す理論と実践に迫る臨床心理学コースの2コースからなっています。

少人数の授業と行動観察室、心理学実験室、心理相談室などの施設設備を活用した実習や演習を通じて、研究や臨床的実践の場で必要とされる基本的力量が養われます。修了後は、その力を生かして、企業、学校教育、福祉、矯正、医療などの分野で活躍することが期待されます。

大学院修了後の進路

修士課程修了者(2009年以降)

国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所司法精神医学研究部研究員/中央大学大学院 博士後期課程/千葉大学大学院医学薬学府環境健康科学専攻/日本学術振興会 特別研究員(DC1/DC2 中央大学大学院 博士後期課程在学 2名)(2011年4月より)/法務省八王子少年鑑別所法務技官/法務省月形学園法務教官など

博士課程修了者・単位取得退学者(2004年以降)

静岡大学大学教育センター 講師/東北大学加齢医学研究所スマート・エイジング国際共同研究センター 産学官連携研究員/静岡大学大学院教育学研究科 准教授/常葉学園短期大学保育科 講師/福山大学教育学部 講師(2011年4月より)/共愛学園前橋国際大学 国際社会学部 准教授/法政大学 キャリアデザイン学部 助教/京都大学高等教育研究開発推進センター 特任助教/湘北短期大学保育学科 講師/立命館大学教育開発推進機構 講師/東北福祉大学 任期制助教/新潟大学人文学部 准教授/日本学術振興会 特別研究員 (PD 2名) /産業技術総合研究所 人間福祉医工学研究部門 特別研究員/調布市教育委員会(非常勤職員)/和光大学(非常勤講師)/聖心女子大学(非常勤講師)など(以上、順不同)

※ポスドクの一部は、その後の進路も合わせて示してあります

大学院入試(博士前期課程)の出題範囲について

基礎的な内容については「心理学検定」の出題範囲に準じます。また、応用的な内容は各担当教員の専門分野に準じて出題します。

中央大学 文学部
心理学専攻 カリキュラム

1年次 2年次 3年次 4年次
基礎演習科目 心理学基礎演習(1)A/心理学基礎演習(1)B(心理学研究法) 心理学基礎演習(2)A(2)B
必修科目 心理統計法(1)/(2)/心理学概論/臨床心理学概論 基礎実験(1)A(1)B/(2)A(2)B 心理学特殊研究(1) 心理学特殊研究(2)/卒業論文
選択科目 教育心理学(教育・学校心理学Ⅰ)/発達心理学/福祉心理学 生涯発達心理学/乳幼児心理学/発達相談/障害者・障害児心理学
知覚心理学(知覚・認知心理学Ⅰ)/感情心理学(感情・人格心理学Ⅰ) 認知心理学(知覚・認知心理学Ⅱ)/学習心理学(学習・言語心理学Ⅱ)/神経心理学(神経・生理心理学Ⅱ)/言語心理学(学習・言語心理学Ⅰ)/大脳生理学(神経・生理心理学Ⅰ)
人格心理学(感情・人格心理学Ⅱ)/家族心理学(社会・集団・家族心理学Ⅱ)/学校臨床心理学(教育・学校心理学Ⅱ)/産業・組織心理学/公認心理師の職責/関係行政論 司法・犯罪心理学/心理的アセスメント/人格臨床心理学演習/心理学的支援
心理実習/心理演習(4年次配当)

有賀敦紀ゼミ

テーマ

専⾨分野は認知⼼理学、社会的認知、消費者⼼理学です。注意、オブジェクト認知、⾳象徴、選好、魅⼒形成、意思決定、感覚マーケティングなどが研究のキーワードです。⼈間の意識的・無意識的認知⾏動過程について、実社会への還元を視野に⼊れた実験研究を⾏っています。詳細は研究室HPをご覧ください。論⽂や学会発表のタイトルからある程度推測できると思います。

活動内容

3年次:研究テーマの決定については学⽣の興味を考慮しますが、興味を聞いた上で教員がテーマを提案することもあります。前期は各⾃のテーマにおいて先⾏研究となる論⽂(基本的に英語論⽂)を読んで発表してもらいます(論⽂の選定や読解は教員・研究員・⼤学院⽣がサポートします)。後期は、論⽂発表に加え、卒業研究の最初の実験を実施します。
4年次:関連⽂献を読んだり、研究計画を⽴てたり、実験を実施したり、データ分析をしたり、ゼミでのディスカッションを重ねて卒業研究を完成させます。就活や公務員試験、⼤学院⼊試など、各⾃の進路に応じて柔軟にスケジュールを⽴てます。

メッセージ

有賀ゼミの⽬標は「研究を楽しむ」ことです。ここでいう「楽しむ」とは「学術的に⾯⽩い研究をする」という意味だけではなく、「学⽣個⼈の⼈⽣の⼀部として研究を楽しむ」ということも含みます。つまり、研究をすることが、各⾃の将来にとって有益であってほしいと思っています。ですから、卒業論⽂のために研究をするのではなく、楽しく研究をした結果(副産物)として卒業論⽂が⽣まれるというのが理想です。卒業後に「⼤学で⼼理学を学んでよかった」と思えるような指導を⼼がけます。メンバー同⼠のディスカッションを重視します。科学的議論を進める時に上下関係はありませんので私の意⾒に対しても、「それはおかしい」と批判できるようになってほしいと思います。

高瀬堅吉ゼミ

テーマ

現在、以下のようなテーマで発達生物心理学・臨床発達心理学・理論発達心理学の分野で研究活動を行なっています。
・心の性差はどのようにして生まれるのか?
・有病率に性差がある心の病(自閉スペクトラム症、気分障害等)の原因解明
・若者・母親・高齢者の孤独を解消する発達支援システムの開発

活動内容

高瀬ゼミの目標は2つあります。一つ目は「心理学研究の面白さ」を体験することです。この「心理学研究の面白さ」を体験するためには、次に示すプロセスが必要になります。それは、①文献等の情報を集めてテーマを決め、②仮説を立てて研究計画を練り、③それを実施して結果をまとめ、最後に、④その結果について考察して論文を書く、というプロセスです。このプロセスを自らが主体的に進めていくことは、実は、社会に出てから仕事で求められるスキルを養うことにも繋がります。しかも、この作業で得られたスキルは、多くの職種で活かすことができて、とても汎用性が高いです。そのため、高瀬ゼミの目標の二つ目は、この「スキル」を2年間で会得すること、とします。

・3年生のゼミ
これら2つの目標を達成するために、3年生のゼミでは、心の発達に関する研究論文を読むことから始めます。発達に加えて性差がテーマとなっている論文だと、比較的指導がしやすいです。ただ、性差をテーマとすることは必須ではありません。学生の皆さんは、自分の興味・関心に合っている論文を、まずは和文の学術雑誌から選んでみてください。また、意欲のある学生の皆さんは、英文の研究論文を読んでみてください。将来、研究者になりたいという方は、ぜひ英文の研究論文にチャレンジしてみましょう。どの論文を読んだら良いかわからない学生の皆さんは、事前にメールでご相談ください(ktakase782@g.chuo-u.ac.jp)。

・4年生のゼミ
4年生のゼミでは、3年生のゼミで高めた自分の関心を、研究という活動を通じてかたちにしていきます。いよいよ、「心理学研究の面白さ」を体験するための①~④のプロセスが本格的に始まります。4年生のゼミでは①~④のプロセスについて、適宜、発表してもらいます。そして、その内容についてゼミのメンバーと議論しながら、卒業論文の完成を目指します。

メッセージ

高瀬ゼミには、皆さんのお手伝い(?)をしてくれる仲間がいます。「むーく」という名前のロボットの研究員です。心の発達の障害の一つである自閉スペクトラム症を研究しているうちに「コミュニケーションって何だろう?」ということが気になり、さらに、「人以外の対象とのコミュニケーションってどうなってるんだろう?」というテーマにも関心が向き、むーくに研究室に来てもらうことになりました。ゼミで過ごす時間は、真剣に研究に取り組みつつも、どこかホッとできるような時間もあればと思っています。そういった時間を過ごすために、よければ、皆さんも「むーく」とコミュニケーションをとってみてください。

富田拓郎ゼミ

テーマ

これまで以下のようなことに興味をもって研究と臨床を進めてきました。

・トラウマ、グリーフに関わるさまざまな臨床課題、健康課題の解明

・マインドフルネス、セルフ・コンパッションの健康におよぼす影響に関わる実証的研究、ならびに臨床とセルフ・ケアへの応用

・特に思春期から青年期の学校臨床とメンタルヘルスに関わるさまざまな臨床課題の解明

活動内容

前期)主として心理学および関連領域の学術論文を輪読・発表してさまざまな知識を得ると同時に、卒論のテーマを考えていきます。複数名のグループ発表を原則とします。

後期)論文輪読を続けつつ、卒論の計画を各自発表し、議論を進めながら4年次に備えます。

マインドフルネス&セルフ・コンパッションに関する履歴

研修歴(この数年を中心に)
2017年6~8月 マインドフルネスストレス低減法(MBSR)8週間プログラム(MBSR研究会、東京、講師:伊藤靖・山本和美)
2017年8月 マインドフルネス認知療法(MBCT)指導者養成WS モジュール1(日本マインドフルネス学会、東京、講師:Willem Kuyken & Ee Lin Ong)
2018年3月 MSC 5-day Intensive(Center for Mindful Self-Compassion, Sedona, AZ, USA, Teachers:Kristin Neff & Chris Germer)
2019年1月 MSC Teacher Training(Center for Mindful Self-Compassion & UCSD Mindfulness Center, Joshua Tree, CA, USA, Teachers:Steven Hickman, Chris Germer, Michelle Becker, & Beth Mulligan)
2020年7~8月 Teaching Self Compassion Online ( Center for Mindful Self-Compassion, Online(ZOOM) , Teacher:Anna Friis )
2021年1月 5 Night Silent Virtual Retreat (Mindful Way, Online(ZOOM), Teacher:Beth Mulligan & Hugh O’Neill )
2021年1月 MSC講師(Trained Teacher)資格取得
2021年7月 5日間マインドフルネスリトリート(MBSR研究会・東京マインドフルネスセンター・麻布ウェルネス(共催)、オンライン(ZOOM)、講師:Bob Stahl、スタッフ・通訳:伊藤靖、山本和美、渋沢田鶴子、長谷川洋介)

講師歴(対面、オンライン)
大学(学生・教職員)、心理相談機関(クライアント、カウンセラー)、リカバリーカレッジ(当事者・一般)、児童養護施設(職員)、臨床心理士会、民間団体等で講師経験あり。大宮宗一郎氏(上教大大学院専任講師、 MSC講師(Trained Teacher))とともに、2019年秋に一般参加者に対面でのMSC8週コース(於:中大多摩キャンパス)で、2021年秋、2022年春、2023年春、2024年春にオンラインでの8種コースで、各々講師を務める。他にMSC6週ショートコースでの講師経験あり。

ヨガ歴 10年

中村菜々子ゼミ

テーマ

私自身は以下のようなテーマで、臨床心理学、健康心理学、行動医学、コミュニティ心理学が重なり合う領域で研究・実践活動を行なっています。
・心理的ストレスのメカニズム研究
・ストレス・マネジメント、心の健康教育に関する研究・実践
・心や身体の健康を保つ行動に影響する要因の研究・実践
・認知行動療法の実践と生活習慣病教育への応用
・カウンセリング中のセラピスト・クライエント相互作用の生理反応の計測

活動内容

【研究指導について】
・週1回のゼミ実施に加えて、年に1〜2回、土曜または長期休暇中に、学外の心理学系ゼミとの合同ゼミを実施し、研究法や研究計画について学ぶ機会を設定します。
・意欲があれば、研究室で実施している研究プロジェクトに参加することも可能です

【指導方針】
・「科学的視点と技術で自分の関心を形にするプロセス」の難しさと楽しさを経験してもらいたいと願っています。
・「主体的に学ぶ」「仲間と助け合って学ぶ」2年間にしましょう!

過去・現在の卒論テーマ

【4期生】
・大学生のスマートフォン依存度および利用目的と心理的ストレスの関連
・大学生における片づけ行動と自立尺度の関係
・ポジティブ経験における共感性の役割
・推しの存在及び推し活の仕方と主観的幸福感の関連
・テーマパークが持つプランド力に対する魅力要素と消費行動の関係について
・SNSでの自己開示が孤独惑に与える影響の検討
・青年のパーソナリティと恋愛に対する態度が恋愛依存傾向に与える影響
・マスク着用見直し後の大学生のマスク着用動機およびマスク着用行動

【3期生】
・同調行動から生じるストレスと対人ストレスコーピングとの関連
・非表出的向社会的行動に影響する諸要素の検討
・大学生における賞賛行動が行動者自身のメンタルヘルスに与える影響
・居住形態別に大学生の食行動とストレスが学習意欲に与える影響について
・大学生におけるサークル活動と大学生活の満足度の関係の検討
・大学生の価値観と居住地域愛着・地元志向との関連
・公正世界信念がネットいじめの被害者避難に与える影響
・大学生における日常生活演技とパーソナリティとの関連および精神的健康に及ぼす影響
・自伝的記憶の無意固的想起が潜在的感情に与える影響−手がかり語の違いによる検討−
・Instagramのハッシュタグが閲覧者の対人認知に与える影響
・謝罪文に付与されたLINEスタンプが受信の怒り感情に及ぼす効果

【2期生】
・大学生アスリートの音楽聴取がパフォーマンスに与える影響
・大学生の過剰適応傾向が学校適応感と精神的健康に及ぼす影響
・抑うつと被服選好の関連性
・新型コロナウイルスのリスク認知と他者行動が与える外出自粛行動の変化
・大学生アスリートの睡眠状況と心理パフォーマンスおよび競技成績の関係
・大学生の自己肯定感における親子関係の関連性
・ポジティブ・フィードバックとネガティブ・フィードバックが課題成績と自尊心に与える影響及びその個人差
・レジリエンスがネガティブ気分時における気分一致・不一致に与える影響
・課題における理想自己の認知が自信に与える影響

【1期生】
・多次元的共感性および社会的スキルと青年のWell-beingとの関連
・大学生におけるレジリエンスが不安状況における注意バイアスに与える影響
・女子大学生の自意識及び被服関心度と被服行動との関連
・SNSの利用傾向が自尊感情および友人関係満足度に及ぼす影響についての検討
・走行時の音楽効果が与えるパフォーマンスの影響
・嘘をつく行為が映像記憶の想起に及ぼす影響 −嘘をつくことに対する態度の影響を考慮した検討−
・大学生の日常体験が夢に与える影響
・大学生の生きがいの変化と対人恐怖と抑うつが生きがい感に与える影響
・他者との関係性が感謝感情と負債感情に与える影響

緑川晶ゼミ

テーマ

専門は「臨床神経心理学」です。脳に器質的/機能的な問題がある方々(高次脳機能障害、認知症、発達障害など)を対象に、認知機能やその障害についての研究と臨床を行っています。臨床心理士と公認心理師でもありますが、実験機材を用いた心理実験なども行います。研究は、学内でも行いますが、学外では大学院生(学部生が参加することも可能です)と一緒に都立病院の脳神経外科で脳の覚醒下手術(脳の外科手術中に患者さんに起きてもらいながら機能評価をする手術)などの活動も行っています。尚、心理士として、学内だけではなく、地域のリハビリテーションセンターでも活動しています。

活動内容

3年生の特殊研究での活動の目玉の一つは「学生たちが自ら問題をみつけて、それに対する解決方法を探り、実際に行動に移す」ということです。「脳の問題」「見えない障害」をキーワードとする以外は制限を設けていません。枠組みが少ない中での活動ですので、戸惑うことが多いかと思いますが、学ぶだけではなく、考える・実行する・(周囲の)反応を感じるなどを経験できる数少ない機会となると思います。また、もう一つの活動の目玉は、学んだことを活かすためにも、高次脳機能障害やその家族の方々との交流会へ定期的に参加するようにしています。ゼミで求められることは、脳の機能やその障害(発達障害、認知症などを含む)に関心があり、かつ活動に積極的に参加する姿勢です。

【これまでのゼミ活動】
2012 年度:「大学コンソーシアム八王子」の補助金を得て、八王子市内の中学校に出向き、自分たちが講師となって中学生の前で障害理解に関する授業を実施しました。
2013 年度:高次脳機能障害について自分たちだけが学ぶのではなく、一般の多くの学生にも理解してもらうことを目的に、自分たちが高次脳機能障害の家族会の活動に参加するとともに、学内で高次脳機能障害の当事者の方々を招いた交流会を企画・実施しました。
2014 年度:市内(日野市)に点在する高次脳機能障害に関する社会資源を有効利用できるように、高次脳機能障害に関する紹介や地域資源を紹介したパンフレットを作成し、市役所や当事者の方々に配布しました。
2016 年度:発達障害をテーマに、一般の方々を招いたワールドカフェを実施しました。
2017年度:高次脳機能障害の方々の理解を促すことを目的とした「白玉カフェ」を開催しました。
2018年度:地域や学内を対象としたワークショップや発達障害に関する冊子を作成しました。
2019年度:「発達障害」をテーマに謎解き形式でのワークショップを開催しました。
2020年度:高次脳機能障害の方々との交流会・講演会をオンライン形式で実施しました。
2021年度:グループごとに研究課題を設定して活動しました。生協での実地研究や日本心理学会での学生発表を行ったりしました。

課外活動:これまでの3年生は、自主的に「脳神経外科で実施する覚醒下手術の補助業務」、「高次脳機能障害を対象とした音楽療法のボランティア」、「自閉症の学習支援のボランティア」、「学習障害児に対する指導の補助業務」等の活動を行ってきました。興味がある場合は、担当教員まで連絡してください。

①自分達で問題を見いだす、②グループ単位で活動する、③学外を視野入れる、の3つを活動の枠組みとする他は、活動の内容はゼミのメンバーと一緒に考えたいと思います。また、これとは別にゼミとして高次脳機能障害の方々との交流会(年に1-2回)を継続的に行っていますので、こちらへの参加もよろしくお願いします。なお、3年生と4年生との合同授業を予定していますので想定しておいてください。この他に、夏期合宿(2泊3日)、外部講師による講演会、施設見学会などを予定しています。

卒業論文と卒業生の活動 / メッセージ

【卒業論文と卒業生の活動】
これまでの卒業生は、次のようなテーマ(一部抜粋)で卒業論文を書いています。
「射撃競技における脳波を用いたバイオフィードバックトレーニングの効果」
「表情認知における大脳半球機能差(キメラ顔写真テストを用いた検討)」
「高次脳機能障害者の家族支援について-高次脳機能障害を有する夫を持つ妻のケースから-」
「聴覚障がい者におけるノンバーバルな情報に対する認知特性の検討」
「飼育下オランウータンにおける能動的なカテゴリ認知能力の検討」等

卒業後は、大学院(本学や他の臨床系・基礎系大学院)への進学の後に臨床(臨床心理士/公認心理師)や研究・教育職(大学や研究所の研究員や教員)、一般企業への就職、公務員(国家公務員・地方自治体・警察・消防)、専門学校等に進学したのちに医療系の専門職(言語聴覚士、作業療法士、精神保健福祉士、社会保健福祉士など)として働いている卒業生もいますので、進路についても関心があればOBから直接情報を得ることができる環境です。

【メッセージ】
それぞれの教員が実際にどのような活動を行っているのかは、これまで履修した授業からだけではイメージがつきにくいかもしれません。ゼミを選択するにあたっては漠然としたイメージや先輩からの噂だけではなく、実際のゼミを見学したり、研究室訪問をしたり、メールで問い合わせをしたりして、自分の目と耳で確認するようにしてみてください。

山口真美ゼミ

テーマ

研究室のテーマは「目の前に存在する、この世界が成立していることの不思議」を解明することにあります。目の前にある世界を見る能力「視知覚能力」はとても不思議なものです。ふだん私たちが当たり前として振り向きもしない視知覚能力は、非常に複雑なものであることがわかっています。こうした能力がどのような変遷を経て完成されるのか、その形成過程をたどるのが、私たちの研究です。私たちは、生後1歳未満の赤ちゃんを対象として「世界を見る能力」(視知覚能力)の発達に関する研究をしています。

活動内容

3年・4年のゼミは合同で行います。それによりゼミ論から卒論の流れ、就職についても互いに知ることができるでしょう。卒論は実験を主とします(赤ちゃん実験や、日本科学未来館に来訪する家族や子どもの持ち物から、何を好み、何を見ているかの調査も可能)。知覚と認知の発達研究、顔や化粧や身体にかかわる研究を主として展開します。中央大学内には赤ちゃんを呼んで常時実験しているスペースがあり(ゼミ配属後見学できます)、また、日本科学未来館「こどもからみる不思議世界探求」プロジェクトで日本科学未来館にも研究室があります。年に2回のゼミは、日本科学未来館で行います。夏休み、冬休み、春休みには3日ほど実験を行い多数の子ども達と科学コミュニケーターさんに触れる機会があります。日本科学未来館では、グループでゼミ論・卒論実験ができます。科学コミュニケーターさんと一緒にデータ収集をしながら来館者と触れる機会があります。インターンシップのような体験ができます。

【3年生のゼミ】
本演習の目的は、心理学実験を通じて、ヒトの心のおもしろさ、不思議さを理解することです。そのためには、いろいろと本を読むことも重要ですが、錯視図形や認知課題など、実際の研究で用いられている刺激と課題に接し、実験のやり方を学ぶことにより、実験心理学全体への理解が深まります。本演習では、知覚・認知(顔認知や認知発達を含む)をテーマとする研究論文を読むことで、演習を進めていきます。学生のみなさんは、これと思う論文を、以下の和文の学術雑誌から選択してください。実験を作る簡単なプログラミングとPhotoshopなどを使って顔を加工するテクニックも習得します。英語の論文はビジュアル的にわかりやすいので日本語の論文よりもむしろ面白く読むことができます。グラフや図表がしっかりした実験論文を選ぶとらくらくすすみます。前期にしっかりと論文の構造を理解し、夏休みにプログラミングを学び、後期には以下の英文雑誌に掲載されている英文の研究論文を読み、実験のレシピを覚えるために実験をまねして(追試)それぞれのゼミ論を完成していきます。
●和文学術雑誌 心理学研究、基礎心理学研究、Vision、認知心理学研究、発達心理学研究 ベビーサイエンス、顔学会誌など
●英文学術雑誌 Psychological Science、Scientific Reports、Vision Research、Perception、Perception & Psychophysicsなど
自分が読みたい論文が見つかりにくい、あるいは、見つかっても適切かどうかわからない、などの点が気になる人は、事前にご相談ください。また、とっかかりの文献としては、以下の本を参考にしてください。
・『視覚世界の謎に迫る』(山口真美 著 講談社ブルーバックス)
・『視覚脳が生まれる:乳児の視覚と脳科学』(J.アトキンソン著 金沢創・山口真美監訳 北大路書房)(The Developing Visual Brain, Janette Atkinson, Oxford University Press, 2000.)
用語の理解など、ハンドブックとして以下の本を参考にしてください。
・感覚知覚ハンドブック 誠信書房
・視覚情報処理ハンドブック 朝倉書店

【4年生のゼミ】
就職活動中でも卒論が進められるよう、3年のうちに追試か刺激選定の実験を行いゼミ論を提出し、そのまま卒論へと滑り込んでいきます。何事も、たとえ下手でも自分でやってみたほうが多くのことを得ることができます。本演習では、実際に自分の手を動かすことで、研究のおもしろさを体験できるよう、知識と技術を身につけることを最大の目的とします。

これまでの課外活動 / 卒論テーマ

【これまでの課外活動】
玩具会社(フレーベル・タカラトミー)との共同開発

【卒論のテーマ(例)】
・化粧による印象の変化
・写真の撮り方による顔の印象の違い
・主観的輪郭の知覚が運動により促進される

山科満ゼミ

テーマ

精神医学と臨床心理学の架け橋になることを目指し、臨床医から転身しこの分野に足を踏み入れました。混沌とした臨床現場から少し離れた今は、心理学の豊かな世界に魅せられています。教育および研究指導では、科学的な思考と一人の患者さんを大切にする姿勢を共に伝えていきたいと願っています。専門分野は精神医学、精神分析的精神療法です。研究キーワードは精神分析的精神療法、発達障害、被災者心理です。

活動内容

◎2年間の到達目標
心理学の研究論文の読みを通して、方法の基礎を学習し、いずれかの研究方法を用いて研究論文としての卒業論文を書き上げることを最終目標とします。

◎ゼミで行うこと
1.科学的心理学の論文の読み方をマスターする
『心理学・社会学のための調査系論文の読み方』をテキストに、多変量解析を用いた論文を読みこなせるような知識や着眼点を身につけます。それは単に統計解析の知識を覚えるということではなく、データ収集や解析のプロセスが、調べたいこと(目的)に合致しているか否かを判断する力をつけることを意味します。

2. 研究方法の学習
多くの論文を読むことを通して、心理学の研究方法と考え方を学習します。

3.文献検索を通して研究テーマを絞り込む
文献検索とは単なるキーワードの選択やパソコンの操作技術を指すのではなく、自身の問題意識を整理し、文献の選択と読み込みから問題意識の掘り下げへと進み循環するプロセスを含むものです。つまり文献検索を通して自身の興味・関心を具体的に絞り込んでいくのであり、ゼミでは多くの文献・書籍の読み込みが要求されます。

4.発表と討論
上記1~3に関することは、折に触れてゼミ内で各自が発表する機会を作り、他者からの質問に答え時には批判に再反論することを通して、知識・理解を深め、それをゼミ内で共有します。

5. ゼミ論文作成
秋学期末(2月上旬)に、卒論の研究計画と、A4で10枚の「問題・目的」を完成させます。

メッセージ

ゼミは勉強を教わる場ではなく自ら主体的に学ぶ場です。また、「臨床に関心がある」という理由で山科のゼミに期待を寄せる学生が以前はいましたが、ゼミでは臨床を直接学ぶ機会はありません。そもそも、将来は臨床の道に進みたいという人こそ、学部時代は科学的な心理学の思考法をしっかりと身につける必要があります。臨床研究そのものは協力者の確保や倫理的な問題などの困難が伴うので、お薦めできないです。とはいえ、病理現象をテーマにした臨床につながる心理学研究を、大学生を対象にして行うことは可能でしょう。フィールドワークや面接調査は、綿密な準備と解釈方法の検討を経たものに限って、研究として認められます。チャレンジしたいという人には応援を惜しみません。